デジタルガレージの歴史を紐解く一冊、「ファーストペンギンの会社」

価格コムや食べログベリトランスなどの錚々たる企業をグループに持つデジタルガレージの創業から現在までを記録した一冊。創業20周年を記念して出版された本で、後半はデジガレ関係者による対談も収録されている。

 

ファーストペンギンの会社---デジタルガレージの20年とこれから | 株式会社デジタルガレージ 創業20周年記念プロジェクトチーム 編 |本 | 通販 | Amazon

 

日本のインターネット黎明期の実態が、収録されている伊藤穰一さんや林郁さんらの会話から伝わってきて、革命前夜の何ものにも形容しがたい独特の空気に触れることができた。

 

以下、参考になった点を箇条書き

 

デジタルガレージについて

・ヤフージャパン設立をジェリーヤンに提案していた

デジガレ経営陣が孫さんに「ヤフーの将来性を説明してほしい」と呼ばれプレゼンすると、それがきっかけでソフトバンクとの合弁が決まってしまった。その後ヤフーから日本法人の株を1%譲る、という申し入れがあったが、ジョーイと林氏はこれを突っぱねた。

 

・その後打倒ヤフージャパンを掲げインフォシークの日本展開を担当

インフォシークの収益化を図るために、DACを設立

 

ジョーイはエバンウィリアムズのBlogger社に投資を行う予定だった

CGMに強い可能性を抱いていたジョーイはBloggerに投資を行うことを決断するが、直前でGoogleの買収が決まってしまった

 

Twitterへの投資を実行

Bloggerへの出資オファーがきっかけでジョーイとTwitterの創業者でもあるエバンウィリアムズは旧知の仲だった、日本のアーリーアダプターの利用数も手伝って名だたる投資家から引く手数多だったTwitterへの投資が可能に

 

カカクコムについて

・2002年6月、カカクコムに7.6億円を出資、40%超の株式を取得

 

・カカクコムの月間UUは4-5,000万人だが、投稿者は1万人程度 

ユーザーに投稿させたコンテンツが4-5,000倍レバレッジ効いてるってすごい

 

食べログについて

食べログは、月間UUが1,000万人を 超えるタイミングで初めてレストラン課金を開始した

最初の丸四年はカカクコムの利益を注ぎ込み、一切マネタイズを行わなかった。

  

その他

Youtubeは2005年の創業当時、動画付きの出会い系サイトだった

その後動画版フリッカーのようなサイトにピボット、それもうまくいかずマイスペースに動画を投稿するサイトにピボットしたところ大成功した

 

ライブドア事件によって投資家はどんなに優良なスタートアップに投資を行ってもすぐに減損処理を求められるようになった

DGインキュベーションも一時活動をストップした

 

やはり最も気になるのはカカクコムへの投資で、IRを遡ってみると、 2002年3月末時点での現預金が7.1億円しかなく、流動資産全体でも23億円しかない中での決断だったよう。今振り返ると素晴らしい一手でしたね。

 

常にファーストペンギンでありたいものだ。

 

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